丸太の競り場とはどんな所なのか?
どんなオーク材がそこにはあるのか?
その目で確かめる必要があります。
この町の中心部にそれはありました。
ロシアより運ばれた木材を車両いっぱいに積み込んだ貨物列車です。
車両一つでも相当な本数の丸太が積まれています。
これらの車両はパイン材でしょうか。
あるていど車両ごとに同じ樹種でまとめられています。
駅のホームに立つと広く見渡せますので、買い付ける車両の目安をつけます。
続いて線路内にも侵入して丸太を近くで確認します。
オーク材の車両をみつけました。(若干ほかの材も混じっていますが)
太いものだと樹齢は150年は超過しているようです。
この様な良材はフローリングではなく、家具用か楽器用に使用される事が多いです。
最終的に0.3ミリ~0.5ミリ程度のツキ板にして使用されます。
まれに「全て柾目」でフローリングを作りたいお客様がいらっしゃいますが、無垢材では不可能であると断言します。
しかし家具用や楽器用のツキ板をフローリングに用いれば製造できます。(かなり高額になりますが)
しかし、目の保養になる眺めです。
マイナス25度ですが、ここをいつまでも離れたくありません。
つづいてカバの丸太です。
余り太いものが多くないのですが、シッカリと成長した良材があります。
断面を見ると、真ん中にポツンと色の濃い丸があります。
ここが木材の筋肉の様な部分で、その周りの白い部分は皮下脂肪のような部分。
カバのフローリングは、その皮下脂肪の白い部分が重宝され、真ん中の筋肉が入ると市場価値が下がります。
通常は皮下脂肪よりも筋肉部分の市場価値が上がるのですが、カバは逆なんですよね。
真っすぐで非常に良い丸太です。
触って質感を確認してみると、不思議と温かく感じます。
私の手が変になってしまったのかと思い、貨物列車の金属部分を触ってみると、ちゃんと予想通りの冷たさが手から伝わります。
周りはマイナス気温の極寒であり、鉄はそれに比例して冷たくなっているようです。
しかし丸太は外気温よりも温度が高く保たれているので、温かく感じたのでしょう。
なんだかこの丸太の温かさに愛おしさを感じます。
ずーっと先まで続く丸太を乗せた貨物列車。
ここは中国、ロシアでも有数の競り場にも関わらず、やはり多いのはポプラ材とパイン材。
オーク材はここでも希少なのだと感じます。
人気のオーク材で比較的安価なイメージですが、これからは安定供給が難しくなることは間違いありません。
オークなどの人気木材の需要と供給のバランスを見ると、需要が圧倒的に上です。
そんな中で私の買い付け理念として、
「1本の丸太から歩留まり良く採る」
これにつきます。
その結果として生まれるのが、
・2mm単板フローリング
・節、白太ありのフローリング
・一枚が小さいヘリンボーンフローリング
過去には2mm単板や節あり白太ありのフローリングなんて考えられませんでした。
割れたり、腐ったり、暴れたりしていたからです。
しかし今はどうでしょう。
乾燥技術や製材技術が進んでおり、さらには海外の製材所との意思疎通も円滑に行える人間関係も構築できています。
少ない自然素材たちを、人間の知恵や技術によって余すことなく利用することが、ひとつ大切な事ではないでしょうか。
この土地を離れる時に、宴会を開いてくれました。
みなさん真面目で楽しいひと達ばかりです。
飲んで食べて、また飲んで。
家族の事、美味しい酒の事、そして恋愛(?)の事、他愛ない話で盛り上がります。
製品を買い付けに行く時に最も重要視するのが、生産者の人柄です。
どんなに良い丸太を持った人でも、人柄が合わない方からは購入を一切していません。
人柄からはその人と同じ性格の製品が生まれます。
これは国境を越えて、世界中同じ事ではないでしょうか。
続いては南方の大連に移動をして、フローリング加工の工程へ進みます。