さあ、最終の加工工程です。
ここは気を緩めずに検品をしましょう。
さあ、完成品の検品です。
まずは出来上がった「形状」を確認します。
この写真の作業は、「曲がり」を確認している所です。
結果、ごく若干の「曲がり」を確認しました。含水率の調整が少し甘いです。
施工や使用に問題なく、許容範囲内ではありますが、完璧ではありません。
どうやら若いチークは通常のチークよりも水分調整に時間を割く必要がありそうです。
フローリングを横に合わせると、「V溝」が出来ます。
それのチェックを行います。
写真の様にフローリングを並べてみました。
矢印の所を見て下さい。少し溝が深いですね。
少し削りすぎです。
続いて、写真の矢印を見て下さい。
この箇所だけ、少しV溝が浅いですね。
先程とは反対です。
重箱の隅をつつく様な検品ですが、些細な事でも良い製品に繋がるヒントが眠っています。
そのため、目を光らせることは重要です。
また発見しました。
矢印の部分を見て下さい。
少しだけ、シミの様なものがあります。
この箇所だけ、表面の塗装が他よりも多く塗布されている様です。
3か所の矢印があります。
何があるか分かりますか??
「クモリ」と呼ばれる、塗装の「塗りムラ」があります。
これは見た目の問題ですね。
ジョイント部分で見つけました。
「接着剤のはみ出し」です。
黒く線になっているのが見えますか?
強度には問題が無く、これも単純に見た目の問題です。
一つの目標として私の目指す製品は、「施工と生活に問題が無い」製品です。
つまり、
・反りが無い
・形状が均一である
・色にムラが無い
これらが「施工と生活に問題が無い」商品であると認識しています。
このルールに則ると今回の製品は、販売できないでしょうか。
答えは「NO」です。
私はこれを販売します。
理由は以下にあります。
反りは許容範囲であり、施工にも大きな支障はありません。
またこれ以上反ることは少なく、施工後に生活で使用していく上で「問題は無い」と判断します。
これ以上反らない裏付けは、下記の実験によります。
写真をご覧ください。
これは今回と同じ条件で製造したチークです。
日本の野外で1年間、晒しました。
木材にとってはかなり過酷な環境です。
左側の無塗装のチークが、ほんの若干反ったでしょうか。
右側の塗装したチークに関しては、殆ど反りが発生していません。
1年間晒してこの結果は申し分ないと判断します。
しかもこの冬は豪雪の異常気象で、約1か月ほど雪にも晒されていました。
それでこの結果は上出来です。
実はこの製品、今回検品した製品より含水率が甘かったのです。
その条件でこれであれば、今回の製品も反りが増大するリスクは極小です。
「V溝」の部分が均等でありませんでした。
若干の差があります。
なんと手作業で「V溝」を作っています。
こんな工場は滅多にありません。
そして、手作業で「V溝」を作った箇所を塗装をしています。
なんという原始的な作業でしょうか。
確かに「V溝」は均等ではありませんでした。しかし床の平滑は出ています。
平滑が保たれていないと、床として価値はありませんのでここは重要です。「床なり」や「引っ掛かり」のリスクがあるからです。
また、今回の製品は「直角」が出ています。
「直角」が出ていないと、大きな「隙間」が施工中の段階で発生します。
私の判断では通常の生活で使用していく上で問題は殆どありません。
今後、販売数を増やし工場を大きくして機械を投資したいです。
そうすれば精度は増してより安定するでしょう。
未来に期待です。
今回の「色ムラ」は塗装の過程でできる色ムラです。
これは一定の確率で出来てしまうもので、最後の検品で確認するほかありません。
検品作業は、基準が「あいまい」になりがちです。
基準を伝える為、購入者である私がNG品を伝える必要があります。
基準がぶれると、瞬く間に製品の質は下がります。
今回は「クモリ」と「色ムラ」の2点を伝えて、この部分を補修して出荷する事をお願いしました。
梱包が終わり、パレットにも積みました。
パレット毎にビニールで巻いて外部からの湿気を遮断させます。
長い距離を湿気のある海を渡って日本に来ます。
ビニールを巻くことは非常に大切な要素なのです。
コンテナへ積み込みます。
扉を閉める瞬間は、いつも感慨深くなります。
無事に日本に着くことを祈ります。
如何でしたでしょうか。
チークを植林し、製造をしてコンテナへ積み込むまでの様子でした。
製品としては、手前味噌ですが良い床材ができたと判断しています。
しかし改善の余地はまだあり、完璧ではありません。
今回、色々とアドバイスをしたので徐々に製品のクオリティが上がるでしょう。
我々はこの「次世代への素材」を多くの方が活用して下さる事を目指しています。
これが多く使われれば、乱獲されている原生木材の減少を少しでも減らすことができるはずです。
未来の子供達も、現在と同じように多種の木材を見て使用する木材を選択してほしいです。
「昔の人間は木を切りすぎて今は多くの種類から選べなくなった」
と、言われる状態は、余りに世代間で不公平です。
未来の子供たちから、私の植えたチークが選択されれば、こんなに嬉しい事はありません。
きっとその選択は、さらなる未来の世代の「選択肢」も守るでしょうからね。