ミャンマーにはブランドチークで有名な「ミャンマーチーク」があります。
確かにその杢目や色合いは素晴らしく、通常のチークと比較して若干色が濃く、また若干密度が高いです。
今回の調達記では、その生産背景とミャンマーの建築でのチークの使われ方を紹介いたします。
貯木場に訪問しました。見渡す限りの巨大な丸太です。
ミャンマーチークは非常に成長の遅い樹種なので、ここにある丸太は細いものでも樹齢100年は超過しています。
ここまで沢山あると価値が薄まって見えそうですが、実は一本一本が非常に貴重な素材なんです。
ミャンマーチークの丸太は減少傾向にあり、ミャンマー政府が保全の為に、伐採を削減しています。
一時期に比べると、その流通量は4分の1以下になっているのではないでしょうか?
今後は益々とその流通量は減少し、入手が困難になってゆくと予想しています。
弊社では積極的に扱っている樹種ではありませんが、手にされた方は末永く大切にして下さるとチークも喜ぶと思います。
建築巡りを前に、まずはミャンマーチークとインドネシアチークの違いを比べてみましょう。
写真の左側がミャンマー産で、右がインドネシア産です。
ミャンマー産の方が色が赤黒い感じですね。
インドネシア産の方が明るい雰囲気です。
決定的な色の違いの理由は明言できませんが、恐らくは育った「土」の差ではないかと予想しています。
その理由として、「生体種」「気候」「樹齢」この条件を揃えてもミャンマー産の方が色が濃くなります。※この写真の木材の樹齢は両方とも80~90年です。
残る比較対象は「土」であり、その「土」に含まれる成分が異なるのが原因でしょう。
余談として、ミャンマーチークとインドネシアチークの色の差は、経年を追うごとに違いがハッキリしていくと私は思います。
ミャンマーのものは、写真の様に「赤黒」に近い経年をします。
決してどちらが優れているという訳ではないので、お好きな見た目で選ばれるのがよろしいでしょう。
ミャンマーにある寺院へ訪れました。
まず目を奪うのは、天井に張り巡らされた板と装飾です。
色からして、間違いなくミャンマーチークです。
先ほどインドネシアチークと比較したミャンマーチークの色と同じですね。
その殆どは「柾目板」で使用されており、とてつもなく貴重な素材を贅沢に使用しています。
現在ですと、これだけの素材を集めることは困難でしょうね。
それにしても素晴らしい装飾と素材です。
ミャンマーの寺院の中は意外にも近代的。
上へ登るのにエスカレータが利用できます。
結構な高さがありますので、これは助かります。
しかし、目の前にはエスカレータを利用するお坊さんがちらほら。
彼らは楽をして登って良いのかな。。と恐縮ながら考えてしまいます。
寺院の中では素足でなくてはいけません。
もちろん、エスカレーターを利用するときもです。
エスカレーターの溝が足ツボを刺激して変な気分です。
また、剣山の上に立っているかの様な感覚でもあり、気分はすっかり修行僧です。
エスカレーターの力を借りて、上まで到達できました。
上には開けた箇所があり、多くの人が参拝をしています。
中には何時間も同じ体勢で祈っている熱心な人も。
建築の外装は金を基調にした装飾で非常に豪華な印象を与えます。
ありました。ミャンマーチークの床です。
先ほどの装飾の様に、全てが柾目とはいきませんが、贅沢なミャンマーチークの長尺ものです。
表面はポリウレタンコーティングで仕上げられています。
所々に割れがあり、素足で刺さりそうな箇所も見受けられましたが、皆さん気にせずに歩いています。
この様な荒い床は風合いがあり個人的に大好きです。
販売をしたいですが、ケガの心配がありますので踏み切れていません。
ホテルに戻り、床に目を向けてみます。
やはりミャンマーチークです。それも寄木貼りをしています。
市松模様で床を貼っていますが、通常とは違い壁面に対して45度斜めにした角度で施工しています。(一般的な市松模様の施工はこちらをクリック)
通常よりも施工手間を必要とする為に、余り見かけることはありません。
壁際は同じ素材を使用して壁面に対して平行に貼られています。
日本では壁際まで同じパターンで貼られることが多いですが、ここも違うポイントですね。
この貼り方は非常に参考になります。
ミャンマーには非常に魅力的な建築と素材があります。
しかし経済発展の影響で古い建物は取り壊され、新しい建築が次々に建設されています。
取り壊されてゆく建築の中には、素晴らしい素材を使用したものが多くあるのでは?
ミャンマーへ訪れる際には、是非とも古い建築にも目を向けてみてください。
それは玉石混交であり、ガイドブックには決して掲載されない建築かもしれませんが、何か凄い素材やアイデアが埋まっているかもしれません。
その建築は今しか見ることのできない、今見るべき貴重な建築である可能性があります。
ぜひ、探してみてください。