調達記6 商品の検品

アンドウッド 無垢フローリング 新潟 旅行記
写真:加工場の一角

いよいよ完成した商品の最終確認。

どんなに良い素材でも、どんなに良い加工をしても、良し悪しを判断するのは人間です。

必ず人間の目で確認が必要です。

古い味のある建物で。

この工場は最新設備とは程遠い環境にあります。

しかし雰囲気は最高であり、そこから生み出される製品は何となくワクワクします。

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写真:周辺の村

 工場のある周辺の村です。

石造りの素朴な建物が並び、全く縁のない風景ですが、なぜか「懐かしさ」を覚えます。

手で積み上げられた石垣に、恐らくは手で積み上げられた外壁のレンガブロック。

その全てが自然の成り行きで出来たであろう素朴なデザインに和まされ「懐かしさ」を覚えるのかもしれませんね。

この風景はホッとします。

 

 

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写真:入り口のドア

いよいよ工場への入り口です。

凄くシンプルですが、使い込まれたドアとその壁。

聞くと100年近く直しつつ使用しているとか。

余り安っぽさは感じず、高貴な雰囲気さえ漂います。

余談ですが、ここの工場はアンティーク系の加工が上手です。

この環境に身を置いていると、その感覚が卓越されるのでしょうか。

 

 

アンドウッド 無垢フローリング 新潟 調達記
写真:検品風景

さあ、検品です。

フローリングの「サネ」を合わせて組み上げます。

※「サネ」はフローリングの凸凹の箇所を指します。

これがキチンと組み上げられないと、施工がしづらくなるので手間が何倍もかかります。また施工後にも隙間が発生しやすくなり、余りよろしくありません。

 

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写真:組み上げて検品

写真のように、フローリングを4枚組み上げて溝でアルファベットの「H」の形をつくります。

この製品は比較的綺麗に「H」が出来ていますが、質の悪い製品は隙間ができています。

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写真:「H」が出来ていない例

こちらの製品はきれいに「H」ができておらず、右下部分に隙間ができていますね。

アンティーク使用であれば見た目は面白いかもしれませんが、通常の製品としては難ありです。

この隙間の発生には理由がいくつかあります。

・乾燥が不十分である。

・「サネ」を作る機械が直角に設定されていない。

・「サネ」を作る機械へ素材が直角に侵入していない。

などなど、、

まだまだ理由がありますが、見つけたら直ぐにみんなで原因究明します。

 

無垢フローリング アンドウッド 木材調達記 新潟 大連
写真:含水率

含水率も計測します。

このフローリングは8.7%を指しており、製品として合格品です。

私の経験上12%を超過すると「虫食い」「腐り」のリスクが劇的に上がります。

また含水率が低すぎても(樹種にもよりますが4%以下)施工後に水分を含んで床が盛り上がり非常に厄介な状態になるリスクもあります。

大切なのはバランスで、1箱の中にバランスよく近い含水率の製品が入っていることが一番最高です。(しかしこれは意外に難しい)

時期をまたぐことによって、外気の湿気も変わるためその数値はいつも同じではありません。

夏の時期の商品は8~11%、冬の時期の商品は6~9%など、ある程度の目安をつけています。

 

「含水率は低い方が良い」という考え方もありますが、一概に私は言えないのではと日々感じています。

虫が出なくて、腐りもないのであれば、含水率は15%弱の高い方が良い様な気がします。

なぜなら、その辺りの含水率で狂った経験が無いからです。虫に食われた経験はありますが。。

個人的に製品を作るのであれば、虫も腐りも気にしないので、高含水率の商品をつくりたいですね!(製品化未定です)

 

 

新潟 無垢フローリング アンドウッド 木材調達記
写真:食堂への道

検品もひと段落して、お腹がすきました。

小走りで工場に併設されている食堂へ行きます。

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写真:食堂

食堂へ一番乗りです。誰もいません。

私より、ここの従業員の方がよく働いている証拠ですね。

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写真:調理場

調理場を覗きました。

さすが大勢の従業員の胃袋を支える場所、鍋が異様に大きいです。

樹齢150年のオークの直径以上に大きかったです。

ご飯の上に、ジャガイモと昆布を中国醤油で炒めた(煮た?)ものです。

中国版の肉の入っていない「肉じゃが」でしょうか?でも甘くはないです。

昆布のうまみがジャガイモにしみ込んでおり、中国醤油の風味も合わさってコレはなかなかの逸品。

ご飯が進みます。美味い。

中国のこういった家庭料理は素朴なものが多く、私は好んで食します。

 

 

 

これにて、大連~ハルビン間の調達期は一旦終わりです。

 

製品を作るのは人間であり、人間同士をつなぐのは「信頼」です。

丸太の調達も「信頼」、製品の加工も「信頼」、検品も「信頼」。

それでは、海外に頻繁に行く必要は無いのでは?検品は必要ないのでは?と思われるでしょうが、それは違います。

「信頼」はあっても「意思疎通」のすれ違いが発生するんです。

私の妻とですら、すれ違いが発生しています。ましてや相手は海外の文化の違った人たちです。

すれ違いが発生して、私の思い描いた製品と大きく異なった経験もありました。

頻繁に現地に行くことによって、「意思疎通」のすれ違いを最大限に小さくすることが大切と痛感しています。

 

「信頼」に「意思疎通」、この二つが私の調達の基本理念です。

次回より、調達期の東南アジア編へ進みます。