今回は【番外編】と題しまして、プライウッド フローリングの特徴について記します。
プライウッドのフローリングのメリットとして、下記3点が挙げられます。
・限りある資源を有効活用できる。
・単価が下がる。(特に幅広材)
・グレードが上がる。(特に幅広材)
順を追って解説しましょう。
質の良い丸太は確実に減少しています。
そんな中でも質のよい丸太への需要は確実に高まっています。
そうなると必要な所へ必要な素材が供給されません。
どうすれば良いのか?
世界の皆で分け合うしかありません。
この機械は2ミリの単板を厚い単板から挽く機械です。
通常では15ミリの無垢フローリングを2ミリに挽くと、約4倍の広い面積で板が取れます。
そして2ミリの単板をべニア合板に貼り付けてフローリングの形にすれば、表面は無垢と全く同じ風合いの床材が出来上がります。
べニア合板は成長の早い木材を採用し、消費と生産のバランスを計算しているので、資源の枯渇は考えづらいです。
もちろん単価は下がります。
その理由は、もちろん材料費の低減ですね。
しかし逆に上がる費用もあるんです。
・設備投資費
・人件費(手間賃)
・輸入関税
ざっくりですが、この3点です。
プライウッドフローリングを製造するにあたり、新しい設備が必要になります。
この機械は、挽き単板をプライウッド基材に圧着させる機械です。
使用する接着剤はシックハウス症候群にならない為の「ノンホルム系」の接着剤を使用する必要があります。
そのために、揮発して乾燥させる接着剤ではなく、圧着させて時間をかけて乾燥させる接着剤を採用しています。
また圧着させる事によって、単板と基材が馴染んで一体化するメリットもあるので、より高品質なプライウッド フローリングの製造を実現させています。
いずれにせよ、この機械は絶対に必要なものです。
これは手作業でプライウッドへ挽き単板を貼っている風景です。
多くの人間でそれぞれの役割を割り振り、接着剤の塗布量まで厳密に調整して間違いが無い様に作業を進めます。
「挽き単板を貼るだけでしょう?」と、少しオーバーに見えるかもしれませんが、この作業はフローリングのクオリティを左右する重要なポイントなのです。
塗布量や塗り方を間違えると、無垢以上に施工後に大きく反りあがります。※企業秘密ですが、塗り方にも大きなポイントがあります。
逆に考えるとコストダウンができる大きなポイントなので、残念ながら粗悪品も製造される工場によっては多く造られているのが現実です。
写真の様に、接着剤の塗布量を10分毎にハカリで計測します。
接着剤は時間が経つ毎に硬化をして塗布量が少しづつ変化してしまうからです。
最初に作った製品と、最後に作った製品で品質が全く違ってしまうと、使用する過程で「表面の挽き単板の剥離」や「床の盛り上がり」などの問題が必ず発生します。
地味な作業ですが、非常に重要なのです。
もう一点は、輸入関税です。
種類によっては6%の税金がかかります。
床材は施工する面積が大きく、また弊社の扱っている床材は決して安いものではないので、この6%は大きな数字となって見積に現れるでしょう。
ここだけは、コストダウンができない所です。
単板貼りフローリングにすると、グレードが上がります。
その理由を見つけるには、丸太挽きまで遡らなくてはいけません。
丸太から製材する際には、何に使用するかで丸太の挽き方が変わります。
木目のグレードを上から順に並べると、
1番:楽器用
2番:家具用
3番:単板貼りフローリング用
4番:無垢フローリング用
この順番ではないでしょうか?
1番の楽器用ですが、使用する面積が少なく、ハイグレードのものが要求されるので、少し歩留まりが悪かったとしても良い木目が出るように製材されます。
逆に4番の無垢フローリング用ですと、使用する面積が大きく多くの丸太が必要になり、とにかく歩留まり良く製材しなくては足りなくなってしまいます。そうすると必然的にグレードが下がってしまします。
3番の単板貼りフローリングですと、無垢フローリングの4倍程は多く製材できるので、グレードは上がります。
プライウッド フローリングには様々なメリットがあります。
「無垢」も確かに良いのですが、その「無垢」という名前に拘らなければプライウッド フローリングも悪くありません。
私自身も、この2種類のフローリングを使い分けて生活を長年続けていますが、実はその差は殆どありません。
あえて違いを挙げるとするのであれば、
・経年で発生する無垢フローリングの「隙間」
・無垢を使用している「満足感」
この2点ではないでしょうか?
仮に両方が平等に同じ価格であったとしても、客観的にどちらが優れているのか私自身も答えは出せていません。
使用する方の嗜好によって、その判断は180度違うものになると思います。
「プライウッド」か「無垢」か、お悩みの場合は必ず専門家に相談してください。
アンドウッドでなくても、木材を深く扱っている所であれば良い情報を教えてくれるでしょう。
私の経験上、国内外を問わず「木材バカ」に悪い人はいません(笑)